雪上自転車レースのバイク選び|ファット×シングルスピードがハマった理由【実体験】
〜本記事は、雪上レースにおけるバイクチョイスと、その考え方を実体験ベースでまとめたものです〜
どうも、ミヤです。
先日出場した美唄スノーサイクルレースで、私はシングルスピードのファットバイクを選び、150分間を走り切って2人チーム部門で優勝しました。
詳しいレース参加ログは別記事に譲ることとして、本記事では、散々悩んだ末に選んだ「シングルスピード × ファットタイヤ」というセッティングがレースにピッタリハマったことにフォーカスして書いていきます。
Contents
雪上レースで一番差がつくのは「タイヤ」だった
雪上自転車レースは、想像以上にタイヤで結果が変わります。脚力よりも、戦略よりも、まずはタイヤ。ジャージを着たガチ勢ひしめくレースで、シングルスピードの私が勝てたことがその証明でしょう。合言葉は「走破性」。できるだけ太くて、できるだけノブ高のタイヤを低圧で運用するのが吉です。多くの参加者がバイクを降りて押さざるを得ないシチュエーションでもなんとか走っていけたのは、タイム的にもメンタル的にも大きなアドバンテージでした。と言うことでファットタイヤは「有利」どころではなく最早「必須」。
今回の路面コンディションと、ファットタイヤ必須だった理由

今回のコンディションでは、ファットタイヤ以外に現実的な選択肢はありませんでした。当日の気温は+2℃、天気は晴れ。そんなわけでスタート時のコースコンディションはザク雪。圧雪車で整備してくれてはいたものの、やはり気温には勝てません。固くしまった圧雪ではなく、とけ気味で踏めば数センチ沈む感じ。
チームの相方は2.8インチ幅のセミファットMTBを持っていったのですが、2.8インチ程度ではタイヤ幅の恩恵は全くと言っていいほど感じられませんでした。タイヤが雪に刺さって進まない。ペダルが踏めないからギアを軽くすると今度はトラクションがかからず度々リアがスリップ。試走時の比較的コースが綺麗な状態でこれならば、レース終盤は地獄でしょう。と言うことで試走後の作戦会議で私のファットを2人で乗り継ぐ方針を決定。
ファットの中で差が出るポイント|ノブ高 × 低圧という最適解

タイヤ幅の次に、これは明確に効いたと感じたのが「ノブの高さ」と「空気圧」です。
同じファットタイヤでも、ここで走破性に大きな差が出ます。
レース終了後、同じくファットバイクでエントリーしていた他チームの選手と話す機会がありました。聞けば、彼らも今回の路面には相当苦戦したとのこと。ただ、落車や押し、スリップの発生率が我々より明らかに高い。試しにタイヤを見比べてみると、彼らは細かく低いノブが密集したパターン。我々はノブ高で間隔の広いブロックパターンでした。さらに空気圧も、我々の方がかなり低く、驚かれていました。
細かいノブが密集したタイヤは、ザク雪やシャーベット状の路面ではノブ間に雪が詰まりやすく、次第に表面が均されてスリックのような状態になります。一度こうなると、踏み込んだ瞬間にリアが逃げ、トラクションが続きません。
一方、ノブ高で間隔の広いタイヤは、雪を噛み砕きながら進めるため、雪質が変わってもエッジが残りやすい。結果として、走破性に明確な差が生まれます。
さらに低圧で運用することで、接地面が増え、同時に多くのノブが路面に触れる状態を作れます。これは単に摩擦を増やすというより、「どこかのノブが必ず食いつく確率を上げる」効果が大きいと感じました。
この部分は、リアタイヤを普段使っているEndomorph(転がり重視)からNate(食いつき重視)に交換し、空気圧も1.0BARを切るところまで落として何度もテストした、一番「Labった」ポイントです。だからこそ、レースでハマったときは本当に嬉しかったです。
嬉しい誤算、シングルスピードと言う「強み」

正直、今回いちばん悩んだのは「シングルスピード」でした。
ところが走ってみてわかったのは、シングルスピードは不利どころか、メンタルを安定させる強みになっていたということです。
レース前に悩んでいた点を端的に言うと二つあります。
ひとつは、路面に対してファットタイヤがオーバースペックだった場合、重くて進まない上に変速なしという大きなハンデを背負うこと。もうひとつは、路面とタイヤが噛み合ったとしても、変速ありのファットに比べて分が悪いのではないか、という点です。前者は今回のコンディションでクリアできましたが、驚いたのは後者でした。
レース中、他チームの走者交代時の会話を聞いていると、「どのギアで行くか」に関する話がとにかく多い。軽めで回すか、重めで踏むか。みんな最適解を探しながら走っているのが伝わってきました。
一方、我々はギア比1.9一発。考える余地がありません。
開き直っているようですが、「余計な判断をしなくていい」というのは、150分の耐久レースにおいて想像以上に大きなアドバンテージでした。走ることだけに集中できる。このメンタルの安定は、嬉しい誤算でした。
さらに、レース中にはリアディレーラーのトラブルに見舞われる選手も見かけました。シングルスピードは、ギア選択の迷いと故障リスクを下げつつ、軽量化というオマケまでついてくる。今回の条件では、なかなか理にかなった選択だったと思います。
もっとも、激しいアップダウンがあり、終始締まった圧雪のコースだったら話は別でしょう。今回ハマったのは、あくまでこのレース、このコンディションだったから。そこは忘れないようにしたいところです。
【結論】雪上レースにチームで出る時のバイクチョイス
そんなわけで、今回の雪上レースをチームで戦ってみた経験からの学びを、一旦の結論としてまとめてみます。
「チームの中にファットとMTBを両方用意し、コンディションに合わせて乗り換える。ドロッパーシートポスト推奨!」
これが、現時点で私が考える最適解です。
お気づきの方もいると思いますが、基本的には今回の我々の戦略そのものですね。
今回は終始荒れたコンディションだったためファット1本で走り切りましたが、もし締まった圧雪が続く状況であればMTBを選択していたでしょうし、
「序盤は圧雪、後半に荒れる」展開であれば、MTBからファットへ乗り継ぐ戦い方も十分にアリだったと思います。
要するに、「悩むなら、チームの強みを活かして両方準備する!」
これに尽きます。
3人チームなら、どちらかを2台用意してバトンタッチをスムーズにするも良し。
凍結路面へのリスクヘッジとして、スパイクタイヤを1台忍ばせるも良し。
チーム戦ならではの戦略性が一気に広がります。
ただ、今回唯一不自由を感じたのがサドル高の問題でした。
我々2人は身長差こそ大きくないものの、適正サドル高はやはり異なります。
とはいえ、選手交代のたびにサドル高を合わせていては、タイムロスが大きすぎる。
そこで理想は・・・と考えたのが、ドロッパーシートポストの運用です。本来はトレイルライド等の下りの際に重心を下げるために使われるパーツですが、これを超クイックサドル高変更ツールとして運用します。
・ドロッパーシートポストを導入し、身長の高い選手にサドル高を合わせる
・選手交代時はドロッパーをベタ下げしてバトンタッチ
・身長の低い選手は走りながらドロッパーでサドル高を調整する
これ、かなり理にかなっていると思います。
雪上レースのためだけに導入するには勇気のいる金額ではありますが……(笑)
もし準備ができるのであれば、
「ドロッパー仕様車で、ファットとMTBを両方用意する」
これを圧倒的におすすめします。
というわけで、長い記事になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。皆さんの雪上レース参加への参考になれば幸いです。
ではでは、またまた。



